次のワクワクする予定、もう決まってますか? どうもSINK夫婦です。
今回のブログは、インドで暮らしていて感じた「パーソナルスペースの近さ」についてです。日本で生活していたときには、あまり意識したことがなかった距離感の違いに、インドに来てから何度も驚かされています。今回は、私たちが実際に経験した場面をもとに紹介します。
空港やレジの行列で感じた「密着」
空港やレジなどで列に並んでいると、後ろの人がかなり近い距離まで詰めてくることがあります。カバンや体が触れることも、正直珍しくありません。日本であれば「すみません」と一声かけそうな距離感です。ですが、インドでは特に気にする様子もありません。そのまま自然に列が進んでいきます。当たった相手も、まったく動じていない様子です。むしろ、こちらが恐縮してしまうくらいです。最初は戸惑いましたが、これがインドでは普通の距離感なのだと、今では感じています。
男性同士の距離感の近さ
街中を歩いていると、男性同士が肩を組んで歩いている光景をよく見かけます。手をつないで歩いている様子を見ることもあります。日本の感覚からすると、家族や恋人でもないのに、ここまで距離が近いのは少し新鮮でした。友人同士の自然なスキンシップとして受け止められているようです。周りの人たちも、特に気にする様子はありません。パーソナルスペースという概念自体が、日本とはかなり違うのかもしれないと感じる場面のひとつです。
車の運転でも感じる「隙あれば入られる」感覚
車に乗っているときも、車間距離の近さを感じることが多いです。少しでも車間が空くと、その隙間にバイクや車がすっと入ってきます。譲り合うというより、空いている場所には入って当然、という雰囲気に近いです。最初は驚きましたが、今ではある程度の車間の詰まり方は想定内になりました。人と人との距離だけでなく、車と車の距離感にも、同じような感覚があるのかもしれないと感じるようになりました。
職場では感じない、街中特有の距離感
一方で、職場ではこうした距離の近さをあまり感じません。距離が近いと感じるのは、主に街中で出会う若い人や、おじさん世代の方々が中心です。同じインドでも、場面によって距離感がかなり違うように感じています。オフィスという環境だからなのか、それとも世代や関係性による違いなのか、そのあたりはまだよく分かっていません。この違いに気づいてからは、シーンごとの距離感の変化にも注目するようになりました。
なぜ近いのか?私たちなりの推測
なぜここまで距離が近いのか、正直なところ、はっきりした理由は分かりません。誰かに聞いた話ではなく、あくまで私たちの勝手な推測です。「近づいても大丈夫」という一種の信頼感のようなものが、根底にあるのかもしれないと感じています。ただ、これは確かな根拠があるわけではありません。あくまで、私たちが日々の生活の中で感じた印象にすぎない、という前提で読んでいただければと思います。今後もいろいろな場面を観察しながら、この感覚について考えていきたいと思っています。
研究から見ると、距離感は文化や気候にも関係しているらしい
パーソナルスペースの文化差については、学術的な研究もいくつかあります。1960年代にアメリカの人類学者エドワード・ホールが「プロクセミクス」という理論を提唱しました。人との距離感は文化によって形作られる、という考え方です。文化を、接触が多く距離が近いタイプと、接触が少なく距離が遠いタイプに大別しています。ただし、この分類は南欧やラテンアメリカ、アラブ圏を「近い文化」、北米や北欧、アジア圏を「遠い文化」とする単純なものです。後の研究では、必ずしもこの通りには当てはまらないケースも多いと指摘されています。アジア圏を一括りに「距離が遠い文化」とすること自体、疑問視されているようです。
2017年に発表された調査も参考になります。42か国・約9,000人を対象にしたもので、見知らぬ人との距離が最も近かったのはアルゼンチン・ペルー・ブルガリアでした。逆に最も距離を置きたがったのは、ルーマニア・ハンガリー・サウジアラビアだったそうです。興味深いのは、気温が高い地域ほど距離が近くなる傾向が見られた点です。私たちが感じた車の「隙あれば入られる」感覚も、もしかするとこうした要因と関係しているのかもしれません。
男性同士の近さは、インドだけの習慣ではないらしい
男性同士が手をつないだり肩を組んだりする習慣は、インドだけのものではないようです。中東や中央アジア、アフリカの一部地域でも広く見られると紹介されていました。海外の記事によると、背景には男女が幼い頃から別々に育つ環境があるそうです。同性の友人同士の身体的な近さが、信頼や友情の自然な表現として受け止められている、と説明されていました。私たちが感じた「信頼の証」という印象も、あながち的外れではなかったのかもしれません。
満員電車の日本と、インドの近さの違い
日本については、少し面白い指摘もありました。ある考察記事では、日本人はアンケート調査上、比較的広いパーソナルスペースを好む傾向があるとされています。それにもかかわらず、満員電車のような極度に混雑した環境には日常的に耐えていて、これは「パラドックス」だと紹介されていました。物理的には近くても、視線を合わせない、会話をしないといった「心理的な距離」を保つことで対応している、という見方です。インドで感じた近さは「近くても特に気にしない」という距離感でした。一方、日本の満員電車は「近いけれど心理的には距離を保つ」という、また違ったタイプの近さなのかもしれません。この違いを知って、なるほどと感じました。
まとめ
インドで暮らし始めてから、パーソナルスペースの近さに驚かされる場面が何度もありました。空港やレジの行列、男性同士の距離感、車間距離など、日本とは異なる距離感覚を肌で感じています。一方で、職場ではあまり近さを感じないなど、場面による違いもありました。もちろん、これは私たちが経験した範囲での印象です。場所や状況によって感じ方は変わるかもしれません。それでも、こうした違いに気づくことも、海外で暮らす面白さのひとつだと感じています。
※参考:プロクセミクス理論(Edward T. Hall)、Sorokowska et al.(2017)Journal of Cross-Cultural Psychology 掲載の42か国調査 等


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