次のワクワクする予定、もう決まってますか? どうもSINK夫婦です。
今回のブログは、インド東部・コルカタ最大のお祭り「ドゥルガー・プージャー(Durga Puja)」についてです。
10月のインドは、地域ごとにさまざまな形で女神を祝う季節です。ただ、私たちが暮らすバンガロールでは、ドゥルガー・プージャーが日常の会話に出てくることはほとんどありません。
一方で、同じ時期のコルカタは、街全体が祭りの舞台に変わるそうです。今回は勉強も兼ねて、インドの秋を彩るこのお祭りを特集としてまとめてみました。
ドゥルガー・プージャーとは?
ドゥルガー・プージャーは、女神ドゥルガーを迎えて祀る、西ベンガル州を中心としたお祭りです。州都コルカタでは、一年で最も大きな行事とされています。
神話では、水牛の姿をした魔神マヒシャースラを、女神ドゥルガーが打ち倒した勝利を祝うものです。
さらにベンガル地方では、ドゥルガーが4人の子どもを連れて実家へ里帰りする期間としても語られています。子どもたちは、ラクシュミー、サラスワティー、ガネーシャ、カールッティケーヤです。
そのため、この時期は女神だけでなく、人々にとっても帰省の季節です。離れて暮らす家族が地元に戻り、地域ごとに祭壇を作り上げる、大きなコミュニティイベントでもあります。
また、2021年12月には「コルカタのドゥルガー・プージャー」がUNESCOの無形文化遺産に登録されました。宗教行事であると同時に、文化・芸術の祭りとしても世界的に認められています。
なぜ西ベンガルで特に盛大なのか?
女神を祝うこと自体は、西ベンガルだけのものではありません。ただ、ベンガルでは歴史と物語の両面から、秋の女神祭りが特別な位置づけになってきました。主な理由は3つあります。
- 女神信仰が根強い地域…ベンガルでは、ドゥルガーやカーリーといった力強い女神への信仰(シャクティ信仰)が、昔から文化の中心にありました
- 秋に女神を祀る物語…ベンガル語版のラーマーヤナ(15世紀ごろ)では、ラーマが戦いの前に、本来の季節ではない秋に女神を呼び起こして祈ります。この「アカール・ボドン(時ならぬ目覚め)」が、秋のプージャーの由来として定着しました。同じラーマの物語が、北インドでは「ラーマの勝利」の祭り(ダシェラ)に、ベンガルでは「ラーマが祈った女神」の祭りになったと考えると分かりやすいです
- 有力者の後押し…16〜18世紀ごろ、地主や王族が豪華なプージャーを競うように開き、やがて地域住民の共同開催へと広がりました
さらに、英領時代にコルカタが首都として栄えたことも、祭りの規模を大きくした一因とされています。
西ベンガル以外でも祝われている?
ドゥルガー・プージャーは、西ベンガル州以外でも盛んに祝われています。
アッサム州、トリプラ州、オディシャ州、ビハール州、ジャールカンド州など、インド東部・北東部の各地でも大切なお祭りです。これらの地域はベンガルと文化的なつながりが深く、英領時代に同じ行政区分だった州もあります。
また、隣国のバングラデシュでも盛大に祝われます。現在のバングラデシュと西ベンガル州は、1947年の分離独立までは同じ「ベンガル」でした。そのため、言葉や文化とともにこの祭りも共有されています。バングラデシュはイスラム教徒が多数派の国ですが、ヒンドゥー教徒のコミュニティにとっては一年で最大のお祭りです。最終日のビジョヤ・ダシャミーは国の祝日になっていて、首都ダッカではダケシュワリ寺院などが祭りの中心になります。
2026年の日程
2026年のメイン期間は、10月17日〜21日ごろの5日間です。
- マハラヤ:10月10日(土)…祭りシーズンの幕開けとされる日
- マハー・シャシュティー:10月17日ごろ…女神を迎える初日
- ヴィジャヤ・ダシャミー:10月21日ごろ…女神を送り出す最終日
ドゥルガー・プージャーの日付は、ヒンドゥー教の太陰太陽暦で決まります。そのため、毎年日付が変わり、年によっては9月下旬に行われることもあります。
ちなみに、初日を16日、最終日を20日とする暦もあります。旅行を検討している場合は、現地の情報で最新の日程を確認するのがおすすめです。
5日間の流れ
5日間は、日ごとに意味が異なります。主な流れは以下のとおりです。
- シャシュティー(6日目)…女神を目覚めさせ、迎え入れる儀式から始まります
- サプタミー(7日目)…本格的な礼拝が始まる日です
- アシュタミー(8日目)…最も重要とされる日で、多くの人が花を捧げる礼拝に参加します
- ナヴァミー(9日目)…祭りの熱気が最高潮に達する日です
- ダシャミー(10日目)…女神を見送る日です
最終日のダシャミーには、既婚女性同士が朱色の粉を塗り合う「シンドゥール・ケーラ」が行われます。その後、女神像は川へと運ばれ、水に還されます。
里帰りした娘を見送るような、少し寂しさの残る締めくくりです。
「歩ける美術館」になるコルカタ
期間中のコルカタで主役になるのが、パンダルです。パンダルとは、女神像を祀るために作られる仮設の祭壇・建物のことです。
竹や布で組まれたパンダルは、地域ごとに趣向を凝らして作られます。伝統的なものもあれば、年ごとにテーマを決めたアート作品のようなものもあるそうです。
そのため、夜になると多くの人がパンダルを巡り歩き、街は太鼓の音と光であふれます。こうした様子から、期間中のコルカタは「歩ける美術館」とも表現されます。
また、女神像の多くは、コルカタ北部の職人街クモルトゥリで作られています。職人たちは、祭りに向けて長い時間をかけて準備を進めるそうです。
同じ時期、バンガロールでは?
ドゥルガー・プージャーと同じ時期、インド各地ではナヴァラトリ(9夜祭)が行われています。ドゥルガー・プージャーは、このナヴァラトリの後半と重なっているのです。
私たちが住むカルナタカ州では、この時期の祭りはダサラとして祝われます。特に有名なのが、マイソールのダサラです。最終日には、象の行列が街を練り歩きます。
一方で、バンガロールでもベンガル系のコミュニティによるプージャーは開かれています。ただ、私たちの周りでは話題に上がることは少なく、コルカタのような熱気を直接感じる機会はあまりありません。
だからこそ、調べてみて「同じ10月に、こんなに違う景色が広がっているんだ」と驚きました。
同じ女神の季節、地域ごとに違う祝い方
同じ時期の祭りでも、地域によって祝い方は大きく異なります。
- 西ベンガル州(コルカタ)…ドゥルガー・プージャー。パンダル巡りと女神の里帰り
- グジャラート州など西インド…ナヴァラトリの夜に踊る「ガルバ」
- カルナタカ州(マイソールなど)…ダサラ。宮殿のライトアップと象の行列
- 北インド…ダシェラ。悪の象徴ラーヴァナの像を燃やす行事
ちなみに、マイソール・ダサラで祀られる女神チャームンデーシュワリーは、ドゥルガーと同じく魔神マヒシャースラを倒した女神です。「マイソール」という地名も、マヒシャースラに由来するといわれています。祝い方は違っても、カルナタカ州とコルカタは同じ物語を祝っているのです。
このように、インドの秋はひとつの祭りではなく、同じ期間にいくつもの物語が重なっています。
広いインドでは、住んでいる場所によって「秋の祭り」のイメージがまったく違うのも面白いところです。
まとめ
ドゥルガー・プージャーは、女神ドゥルガーの勝利と里帰りを祝う、コルカタ最大のお祭りです。
- 2026年は10月17日〜21日ごろがメイン期間
- 街中にパンダルが立ち並び、コルカタ全体が「歩ける美術館」に
- 2021年にUNESCO無形文化遺産に登録
- 同じ時期、カルナタカ州ではダサラ、西インドではガルバが行われる
バンガロールで暮らしていると、なかなか実感する機会のないお祭りです。ただ、同じ国の同じ季節に、これほど違う景色が広がっていると知るだけでも、インドの奥深さを感じられました。
インドの秋について知るきっかけになればうれしいです。
FAQ
A. メイン期間は2026年10月17日〜21日ごろの5日間です。祭りシーズンの幕開けとされるマハラヤは10月10日です。暦によって1日前後する場合があります。
A. いずれも同じ時期に行われる女神にまつわる祭りです。ナヴァラトリは9夜にわたる祭りで、ドゥルガー・プージャーはその後半5日間に西ベンガル州を中心に行われます。ダサラ(ダシェラ)は最終日のヴィジャヤ・ダシャミーを中心とした祭りで、カルナタカ州のマイソール・ダサラが有名です。
A. 女神信仰(シャクティ信仰)が昔から根強いことに加え、秋に女神を祀る由来となった物語「アカール・ボドン」が広まったこと、地主や王族が豪華なプージャーを競って開いた歴史などが背景にあります。


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